Decentralized Central Counter Party (DCCP) ~Draft~
Under the digitalized derivatives market maturity, the central counterparty (CCP), which is a financial institution mutualize counter party credit risks, can move to a decentralized world with blockchain technology. This project aims to decentralize the CCP and automate clearing and settlement by programmatic smart contracts for achieving an efficient clearing water fall and real-time margin call, etc and eliminating clearing brokers.
We are embracing transparent digitalized lending, securities and derivatives, more than ever. It’s the era to decentralize the CCP (Central Counter Party) for the clearings and settlements by eliminating invisible risks. English post will be out soon …
Bilateral clearing to Central clearing and now beyond … Decentralized P2P clearing and settlement has come.
What is CCP (Central Counter Party) ?
カウンターパーティーリスクとは、デリバティブの取引相手が契約満期前に金融債務に対してデフォルトを起こした際、契約上決められた支払いが行われないリスクのことです。CVA(Credit Value Adjustment)を適切に計算し、社債の減損処理やローンの引当処理と同様にデリバティブについても引当し計上することが会計上も求められてきています(アメリカではデリバティブ取引は公正価値で会計上の報告が行われることになっている)。またバーゼルⅢにおいては、信用力の変化に伴う時価変動リスク(CVAの時価変動リスク)を信用リスクアセットに加えることが必要となりました。
各国では現在、店頭デリバティブはCCP (Central Counter Party)を通して取引しカウンターパーティーリスクを削減することが義務付けられています。リーマンブラザースの破綻後、2009年のG20ピッツバーグ・サミットにおいて『店頭デリバティブ契約は、適当な場合には、取引所または電子取引基盤を通じて取引され、集中清算機関を通じて決済されるべきである』との声明が出され、義務化が進んだという背景がありました。
CCPとは証拠金を担保にデリバティブ取引を仲介し決済を行う機関で、CCPを使用すると相対取引がCCPとの取引に代わるため、相対取引に存在していたカウンターパーティーリスクが低減されます。
CCPへの直接参加は大手の金融機関が中心ですが、ヘッジファンドが使用するプライムブローカーと同じような仕組みでクリアリングブローカー経由で参加することも可能となっています。
CCP (Central Counter Party) [1]
CCPs “mutualize” (share among their members) counterparty credit risk in the markets in which they operate. A CCP reduces the settlement risks by netting offsetting transactions between multiple counterparties, by requiring collateral deposits (also called “margin deposits”), by providing independent valuation of trades and collateral, by monitoring the credit worthiness of the member firms, and in many cases, by providing a guarantee fund that can be used to cover losses that exceed a defaulting member’s collateral on deposit.
リーマン・ショック後の世界的な金融危機では、特に清算されない店頭デリバティブ取引の実態を当局が十分に把握できなかったことや、金融機関の間に未清算の取引が積み上がっていたことが、危機を拡大させたとの指摘があり、G20サミットにおける金融制度改革の議論を経て、その後の規制強化では店頭デリバティブ取引のCCP決済の義務化が進められている。足元では、金融市場インフラであるCCPにリスクが集中しつつあることから、CCPのリスク管理や秩序立った破綻処理のあり方についても検討されている。
Why decentralize ?
CCPという集中清算機関自体のリスクやそのリスク管理手法、またデフォルト時の損失補償スキームについて様々な問題提起がなされています。分散型プラットフォームを用いて特定の集中清算機関の利用を排することにどのようなメリットがあるか考えてみましょう。非中央集権化、分散型プラットフォーム上で構築するCCPをここではDecentralized Central Counter Party (以下、DCCP)と呼びたいと思います。
メリットとしてリアルタイム性、ブローカーレスクリアリング、また市場効率化および透明性を挙げました。
- リアルタイム性(Realtime Processing) — 当初証拠金の計算、流動性チャージ、エクスポージャーをカバーする変動証拠金の送金などをリアルタイムに実施、取引量の圧縮(コンプレッション)の走査および処理などもリアルタイム化
- ブローカーレスクリアリング(Brokerless clearing) — クリアリングブローカーを介さずDCCPのスマートコントラクトと直接やり取りを実施、クリアリングブローカーの破綻などクリアリングブローカー起因のリスクを低減
- 市場効率化と透明性(Market efficiency and transparency) — 損失補償のウォーターフォールや参加者の参加資格の取り消し、追加の証拠金などをスマートコントラクトで定義および処理、CCPのヘルスステータス、各参加者のリスク量やパラメータの可視化による透明性の確保
リアルタイム性(Realtime Processing)
イニシャルマージン(IM)は当初証拠金と呼ばれ、マージンコールの合間や担保の受け渡しの途中のデフォルトへ備えるために積み立てられます。またリーマンブラザース破綻時と同様に参加者のデフォルト時はまずデフォルト当事者の当初証拠金からクリアリングしていきます。
リスク量(PV01)の評価による流動性チャージによる当初証拠金の積み増しや、またマージンコールによる変動証拠金の増減はDCCPのスマートコントラクトと連携することで迅速に行うことが可能となります。リスク量(PV01)の偏りをほぼリアルタイムで検知し、流動性チャージを即時にリクエストすることや、参加者の信用状況に応じて当初証拠金の割り増しをすることも各参加者がDCCPと直接やり取りできるようになります。
各参加者は証拠金または担保のためにトークン(WETHなどを想定)をステークしておき、DCCPからの要請に応じて許可したトークンで当初証拠金を引き渡します。CCPの先駆けとなった LCH Clearnet Group(以下LCH)ではエクスポージャー評価のために、1日数十回のマージンコールを行っています。変動証拠金についてもDCCPでプログラムされたスマートコントラクトとやり取りを行うことでよりリアルタイムに近い間隔で処理可能となるでしょう。JSCC(日本証券クリアリング機構)の場合、変動証拠金は参加者からのデータによって時価評価を行い、変動証拠金として必要な担保額を決定しています。
またTriOptima社が行っているような取引量の圧縮(コンプレッション)の処理についてもDCCPで合意が取れた時点で自動的にキャンセリングすることができるはずです。もしくは合意やキャンセリングはP2Pに参加者間で行えるかもしれません。
ブローカーレスクリアリング(Brokerless clearing)
小規模や金融機関などの参加者は、CCPに直接参加している金融機関もしくはクリアリングブローカーの代行を通して取引しています。間接的にCCPの枠組みに参加する形態をクライアントクリアリングと呼び、アメリカではFCM(Futures Commission Marchant)、欧州ではSCM(SwapClear Clearing Member)などといったモデルが採用されています。
クライアントのポジションにかかる清算基金は、CCPに直接参加するクリアリングブローカーが負担することとなっており、必要とされる資本の負担が大きいこと、またブローカーにもデフォルトの可能性があることなど、クライアントブローカー自体に存在する様々なリスクは低くないと考えられます。
店頭デリバティブの取引をCCPでの集中清算に移行はしたのはいいものの、クライアントブローカーという仲介者が存在するため、そのクライアントブローカーがデフォルトした際のリスク管理はどうするのかという議論が発生してしまいます。
分散型プラットフォームとすることですべての参加者はクリアリングブローカーを介さずともDCCPと直接やり取りができるようになります。小規模な参加者においてもCCPへ参加する負担が軽く、証拠金、マージンコール、デフォルトマネジメントプロセスなどは全てスマートコントラクト上で記述され自動執行されるようになります。
市場効率化と透明性(Market efficiency and transparency)
参加者がデフォルトした場合、CCPは損失補償プロセスであるウォーターフォールに従って参加者に対する損失を補填していきます(CCPによって定義され、それぞれ異なる)。リーマンブラザーズの破綻時には、リーマンブラザーズがLCHに拠出していた当初証拠金の35%のみが使用されました。以下のウォーターフォールの例はWikipediaに記載されていますが、リーマンブラザーズのケースでは『1. 破綻参加者の当初証拠金』の担保のみで損失が補填できたことになります。
- 破綻参加者の当初証拠金
The margin deposits of the suspended firm - 破綻参加者の清算基金
Clearing fund deposits of the suspended firm - 残り参加者の清算基金
Clearing fund deposits of non-defaulting firms - 集中清算機関の拠出
OCC retained earnings - 清算基金の評価
Clearing fund assessments
各証拠金、清算基金とデフォルト時の補填の計算は全てスマートコントラクトで記述を行うことができます。参加者の基準管理、信用力が低下した場合の資格の取り消しや追加の証拠金の徴収もインターネットを介して各参加者とDCCPがスマートコントラクトに基づいて直に処理していくことが可能となり、こういった契約の自動執行によってクリアリング手数料を極めて低く抑えることができるようになります。
クリアリングの手数料については当初証拠金、変動証拠金などの積み立てとは別にクリアリングトークンを流通させ、既存のCCP同様に元本に対する比率で決定するものとします。
各参加者の当初証拠金、変更証拠金や清算基金をはじめとしてリスク量や担保の積み増しなどの情報はブロックチェーン上のデータとしていつでも参照可能なためDCCPの透明性は金融機関が提供するCCPよりも高くなると考えられます。
またDCCPは主管となる機関がスマートコントラクトとして常に発行可能で、健全性やウォーターフォールのモデルもパラメータとしてDCCPの参加者の合意のもと決定します。DCCPを主管し発行する機関はクリアリングトークンによる手数料を得られることから、特定のデリバティブ市場についてのCCPを構築するインセンティブとなるでしょう。バーゼル規制におけるリスクアセット計算上もDCCPの透明性がより高いことから有利となると考えています。
まとめ
- 店頭デリバティブはCCP (Central Counter Party)を通して取引しカウンターパーティーリスクを削減することが義務付けられている
- 分散型のプラットフォームとすることでブローカーを排し、CCPと参加者を直接繋ぐことができる
- スマートコントラクトで処理することで市場効率性や透明性を向上させられる可能性がある